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井上和哉(カズヤ)税理士事務所

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家内労働者等の必要経費の特例


所得税法には、所得計算にあたって数多くの特例があります。その中の一つに「家内労働者等の必要経費の特例」があります。

◆必要経費の特例
事業所得又は雑所得の金額は、原則、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当した場合には、実際にかかった経費の額が65万円未満であっても、必要経費として65万円まで認めるものです。もちろん、実額経費が多い場合は実額が使えます。
この特例は、昭和63年に創設されたもので、その趣旨は、同じ労働を対価とする収入であっても、パート等の勤務者には最低でも給与所得控除65万円の適用がある一方、雇用関係のない家内労働者等にあっては適用がない、これでは課税の公平の観点から平仄を欠く、でした。

◆家内労働者等の範囲
条文を要約すると、①家内労働法に規定する家内労働者や②外交員、③集金人、④電力量計の検針人のほか、⑤特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者、がその対象者です。
では、具体的にどういう人や仕事が対象になるかです。①の家内労働者ですが、いわゆる「内職さん」、今日的には「在宅ワーカーさん(在宅勤務ではない)」がこれに該当します。②、③、④は問題ないと思いますが、少しわかりにくいのが⑤です。ここでのキーワードは、「特定の者」、「継続的」、「人的役務の提供」です。
したがって、不特定多数の人を対象としたサービスの提供は対象外となりますが、特定の者については、サービスの提供者が特定されていればよく、その提供先が複数であってもよいことになっています。概ね、次のような人が該当するものとして取り扱われています。
乳酸菌飲料の訪問販売員(ヤクルトレディー等)、成年後見人等、専属モデル、シルバー人材センターの登録会員、特定の会社から翻訳等の仕事を請けている人です。

◆適用にあたっての留意点
給与等の収入金額が65万円以上あるときは、この特例は適用できません。
また、公的年金以外の生命保険契約に基づく雑所得等がある場合も、そこで計上した必要経費が65万円を超えていればこの特例は適用できません。

財務省:2016年度税制改正内容のパンフレットを公表!


財務省は、2016年度税制改正内容を周知するためのパンフレットを公表しました。
それによりますと、2016年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額も明らかにし、初年度の2016年度は、法人税率を23.4%(現行23.9%)に引き下げるなど、国・地方の法人実効税率を29.97%(同32.11%)に引き下げることで、▲1,550億円の減収とみております。

一方で、法人税率引下げのための財源確保の観点から、生産性向上設備投資促進税制の縮減(2017年度に廃止)での570億円の増収や、建物附属設備や構築物の償却方法を定額法に一本化する減価償却の見直しで570億円の増収のほか、環境関連投資促進税制・雇用促進税制・国際戦略総合特区税制の見直しなどその他の租税特別措置の見直しで140億円の増収があり、法人課税全体では▲270億円の減収とみております。

消費課税では、外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しが▲50億円の減収となる一方、高額資産を取得した場合における消費税の特例措置の見直しで10億円の増収となり、差し引き▲40億円の減収とみております。

個人所得課税では、スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設などがありますが、初年度は影響がなく、初年度の増減収見込額は、法人課税の▲270億円と消費課税の▲40億円の計▲310億円の減収とみております。
平年度ベースでは、税制改正の影響が十分に行き渡ることから、個人所得課税は、スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設で▲30億円、既存住宅の多世代改修工事に係る特例の創設で▲10億円の計▲40億円の減収とみております。

消費課税では、外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しが▲70億円の減収となる一方、高額資産を取得した場合における消費税の特例措置の見直しで10億円の増収で、差し引き▲60億円の減収とみております。
法人課税は、法人税率の引下げで▲3,340億円の減収、企業版ふるさと納税の創設で▲20億円の減収がある一方、生産性向上設備投資促進税制の廃止で2,410億円、減価償却の見直しで650億円、その他の租税特別措置の見直しで240億円の各増収項目があり、差し引き▲60億円の減収とみており、平年度はトータルで▲160億円の減収を見込んでおります。

(注意)
上記の記載内容は、平成28年6月9日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

どっちが優先? 遺言と遺産分割協議書


◆年々増える遺言作成件数
相続・遺言に対する関心は年々高まっており、平成26年1月~12月に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)は10年前から約4万件も増加し、ついに10万件を超えました。家庭裁判所で扱われた遺産分割事件も同様に増加傾向にあり、こうした背景も影響していることがうかがえます。故人の遺志をできるかぎり尊重したいものですが、遺言を書いたときと相続時では家族の状況が変わってしまうということもあります。では、遺言の内容と異なる遺産の分割をすることは可能なのでしょうか。

◆遺言と違う遺産分割は可能?
相続人の間で遺産分割の方法を話し合うことを遺産分割協議と言い、その結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。
判例では、①遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合、②遺言執行者が選任されている場合を除き、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることは事実上認められています。実際、遺言と異なる遺産分割の方法を協議することは珍しくありません。
しかし、だからと言って全て遺産分割協議書が遺言に優先する、という意味ではありません。遺言の内容によっては注意が必要です。

◆遺産分割の方法が指定された遺言
過去、最高裁では、特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言の場合、遺言者の死亡によって、財産は直ちに確定的に相続人に帰属するとした判決が行われました(平成3年4月19日最高裁判決)。「特定の財産を特定の人に相続させる内容」とは、たとえば「長男○○に埼玉県××の土地を相続させる」というのがこれにあたります。この場合、その後に行った遺産分割は本来の意味での「遺産分割」ではなく、相続人間の取引として財産が移転するものとされています。
その結果、不動産の相続登記を行う際、遺産分割協議の結果をすぐさま登記できず、まずは「遺言に基づく登記」をした後、「相続人間の取引の登記」の二段階で申 請しなければならないなど、相続事務に支障をきたすことがあります。こうなると手続き費用も手間も二重にかかってしまいますので、注意が必要です。

消費税延期されるものされないもの


◆消費税10%は再延期、いつから?
消費税の10%への税率アップは、平成27年10月からだったものが、平成29年4月に延期されていて、さらにこの度、平成31年10月に再延期されることになりました。
ただし、法律の改正を経ないと、延期は実現しません。秋の臨時国会に、今年春に確定した改正消費税法を改正する法案が提出されるものと思われます。

◆再延期の時期はそれぞれ
秋の国会に出される延期法案で確実なのは、消費税率10%への増税なので、複数税率化も同時に延期されることになります。
複数税率化の延期に伴い、来年4月から施行予定であった、インボイス(適格請求書)制度の導入準備開始制度も一定の修正をせざるを得ないことは明らかですが、必ずしも単純に2年半延期されるわけではないと思われます。
さらに、平成33年4月から導入のインボイス番号制度は延期されずに、予定通りの施行になる可能性は大きいです。

◆来年4月からの準備開始制度
今年成立の改正税法では、インボイス正式導入までの経過措置として、請求書には、税率の異なるごとの請求額合計とそれら毎の消費税額を各別に記載することになっています。消費税額無記載や内書き表記は正しい表記ではなくなりました。
単数税率だったとしても、ゼロ税率や非課税もあるので、その部分の微修正を経てインボイスとしての体裁を整える方向で、延期なき施行になると思われます。
なお、記載不完全な請求書の交付を受けた場合は、正式導入までの準備期間に限り、事実に基づき追記することが認められていますが、免税事業者であることが明らかな者からの仕入では追記は認められないので、もはや課税仕入にはなりません。

◆税額計算の方法は積上げ方式
インボイス正式導入前でも、請求書に記載の消費税額が中心になるので、その積上げ額が、仕入消費税・売上消費税の基本になりますが、税率の異なる毎の取引総額からの割戻し計算も用意されています。
売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対しては、正式導入までの準備期間に限り、売上税額又は仕入税額の計算の特例が設けられます。①10営業日サンプル割合方式、②仕入割合・売上割合での売上仕入割合推定方式、③50%簡便法などです。